Synth Scope その1 試作しました。
安い中華製のOLEDディスプレイを試しているうちに、シンセ専用のオシロスコープができました。
モジュラーシンセでは、波形を見たいことはよくあり、実際オシロのモジュールも売られています。多分オシロスコープのユニットをモジュラーに組み込んだ構成だと思います。しらんけど。
今回は、デジタルシンセのソフト構成を基本として、
・初段の音源部を波形の取り込みに置き換える
・最後の発音部を、波形表示に置き換える
で、
コンセプトは、シンセ専用のオシロ。
・調整は最低限で、パッチするだけで見たい波形が見れる。
入力レベルは、10Vpp,Lineレベルを切り替える。もちろん調整はできる。
・シンセ専用の波形表示モードとして
■1 サウンド波形表示モード
耳で聞く音を表示するモードなので、チューナーのようにピッチがわかりやすくなっています。
・スイープ周波数の決定は、音階に合わせアンチログを設ける。
とりあえず、オクターブをディミニッシュで4分割(C,D#,F#,A)とし、
音名と周波数を表示(画面に1波形を表示したときの)
・トリガは、内部トリガだけでは、オシレータシンクや複数オシレータによる変調波形
のような複雑な波形を静止できないので、外部トリガも用意します。
・使い方は簡単で、外部トリガをパッチするだけでオートで切り替わる。
■2 LFO表示モード
ふつうのオシロでは表示が難しい超低周波専用の表示モードです。数秒周期の低速から数10Hzまでをカバーします。 これは使いやすいです。
■3 エンベロープ表示モード
EGの波形表示専用のモードで、単発の波形でもきれいに表示できます。
これは、見てもらわないと説明がむずかしい。
それでは紹介動画をつくつたので見てください。
今年出展したイベント その4 MakerFaire東京(2019年8月3,4日)
MakerFaire東京 8月3、4日 ビッグサイト
MakerFaire京都は、エントリーし損ねたので、東京の方は早めにエントリーし、
無事出展許可がおりました。初めての出展です。
5時起きで久々のビッグサイトです。
となりの看板もMFTokyoなので紛らわしい。
MakerFaireでの紹介ページ
https://makezine.jp/event/makers-mft2019/m0219/
g200kg 新谷垣内さんとbeatnic 武田さんがブースの手伝いに来てくれました。
ありがとうございました。さすが東京。シンセ関係者が集まります。
私のブースはこの写真の真ん中の奥です。すごい人波。
メイカーズバザールから日にちがない中、完売してしまった簡単アームテルミンと山下シンセのキットを必死で用意しました。用意するのも大変ですが東京まで運ばねばならない。今までの大阪近辺と違い宿泊の荷物もあるので、宿泊の荷物と2日目用のキットはホテルに宅配しました。
結果として、用意したキットは日目午前で完売。足らずは郵送することになりました。やはりMakerFaire東京は違います。DIYする層が厚く、買う気満々の人が多数います。初めて東京での出展なので待ち構えている方もおられました。
海外の方も多く、中華の人が何度もアームテルミンを触りに来て、会社予算でキットを買っていきましたが、少し心配です。 来年同じようなものが深センや上海に登場しないか・・・
今回新たな展示物は、アームテルミンライブ(光るやつ)試作弐号機です。
メイカーズバザールで展示していた壱号機は、ガジェットアームテルミンと同じAVRの回路を、表面実装部品を使って小型化し、コントローラ側にすべて入れようという発想でした。当然電池も内蔵し、コントローラから直接ステレオミニでライン出力を出す構成です。
しかし実際には電池を入れるスペースが小さく単四電池しか入らず、LEDを派手に光らせると電池の減りが早い。(電池残量を気にしながら演奏するのはストレスになりますし)
ということで、電源と音源を外付けにし、ラインアウトと同じステレオミニプラグ(3線)を使って、音源側から電源(2線)を送り、コントローラ側からシリアルデータ(1線)を送る仕様にしました。
改善点
・電池残量を気にしなくてよい
・LED駆動により乗っていたノイズが軽減される
・音源を8bitのAVRから32bit のSTM32に変更。
・電池なしになりコントローラが軽くなった。
下が音源モジュールです。
シリアルデータは、連続音階楽器に合わせて適当に仕様を決めました。Midiを参考に。
特徴あるのは音階データで、Midiと同じ半音単位の整数部7bit に加えて、小数部7bitを持っており、2msごとに常時送出しています。
他には、トーンベロシティ、ビブラートベロシティ、トーンボリューム値、ファンクションボリューム値を4~8ms に一度送出しています。
トーンボリュームは暫定ですが、正弦波 → テルミン → ノコギリ波 → 二胡波形 をモーフィングで連続可変しています。
ファンクションボリュームも暫定で、ディレイエコーの遅延量と強さに反映します。
プッシュスイッチは、暫定でオクターブシフトと発光パターン変更になっています。
MakerFaire東京の他の楽器系ブースの紹介を、お手伝い頂いたg200kGさんが公開されています。
https://www.g200kg.com/archives/2019/08/maker-faire-tok-1.html
今年出展したイベント その3 メイカーズバザール大阪(2019年7月20,21日)
メイカーズバザールは、去年も退院直後にリハビリ参加したので、これで4回目です。
年々規模が大きくなり、今年は10階で冷房も効いて快適な環境でした。
今年は、伯さんと共同ブースということでしたが、伯さんは多忙で新たな作品が無いとのことで、午後からの参加になり、ほとんど私の展示の手伝いをしてもらっているような状況になってしまいました。すみません。
シンセ関係は伯さん、アームテルミン関係は私という説明体制です。
アームテルミンは、MakerFaire京都での反省から、より製作が簡単な「簡単アームテルミンキット」を準備しました。基板をそのままケース表面にねじ止め設置する構造で、以前のキットで最も難しかったところが簡単になります。また、製作マニュアルも初心者前提に新たに作りました。
マニュアル類は、ここに公開しています。
http://hyamasynth.web.fc2.com/ArmThermin/ArmTerminRoot.html
表面パネルはあらかじめニス塗装済みとし、完成形がイメージしやすいキットとなりました。
キットの方は、MakerFaire東京との間が短いので、両イベント用を合わせて、簡単アームテルミンキット10セット、山下EUROシンセの2セット用意していたところ、メイカーズバザールだけで完売してしまいました。
急に売れ始めたのは、認知されてきたということでしょうか?
ただ作りだめしたつもりの在庫がなくなったので、MakerFaire東京に向けて再度作らねばならない。この感じなら、MakerFaire東京はもっと数を用意せねばならないかもしれない。荷物が増え持っていけるかな?
アームテルミンライブの方は、ガジェットアームテルミンの回路を流用した試作初号機から、一段階進歩した試作壱号機になりました。
全回路を表面実装にしてコントローラー側に乗せて一体化しました。
コントロールとしてボリュームを2個用意しています。片方は波形セレクトでもう一つは未定です。
フリケンシーシフタは、マニアックなので希望者のみにデモ&体験をしてもらいました。
今年出展したイベント その2 MakerFaire京都(2019年5月4,5日)
MakerFaire京都 5月4、5日 けいはんなイノベーションセンタ
関西初の本家オライリー主催のMakerFaire。
けいはんなイノベーションセンタは学研都市にあり、中央線乗り入れの近鉄登美ヶ丘駅からバスで20~30分と遠い。ここを京都と呼ぶのは詐欺のようだ。現地の周りの最寄り駅はすべて奈良県。
事前にルートをGoogleMapで検索したら、とち狂ったことに、どんな設定をしても関空まで電車で行ってリムジンバスで京阪奈へ、との10時間ルートしか表示されず。Googleがゼンリンの地図採用を止めた直後なだけにその影響か・・
MakerFaireへは初出展で、申し込みしなければと思ったときには既にエントリー期限切れで、結局ikkei 氏のブースを半分間借りしての展示になりました。
展示物は、間借りなので展示面積が狭いので、シンセ関係は無しとし、
フリケンシーシフタ と アームテルミン関係のみとしました。
ただこれでは、シンセをやっている山下ということがわからないかもしれないので、上のパネルを掲示しました。
MakerFaireには初展示なので、アームテルミンを知らない人が多かろうと言うことで、以前作ったキットの在庫を持ってきたところ、思いのほかの人気で持って行ったものは完売してしまいました。(NTでは何度も展示しているのですが、やはりMakerFaireはひと味ちがいますね)
ただ反省点として、購入者の約半数が電子工作未経験ぽく、ちゃんと作れるかどうか心配です。
NTでは閉展間際でほとんどお話しできなかった、るなさんが来てくれ、テルミン業界のお話をさせていただきました。また、デモ演奏をして頂いたおかげでアームテルミンの注目度が上がったのだと思います。
懇親会を終わって帰ろうとすると建物の外は真っ暗。入り口外の階段状のスロープを踏み外すほどでした。帰宅には2時間以上かかりました。ほんとに遠い。
今年出展したイベント その1 NT京都(2019年3月23、24日)
8月3,4日にビッグサイトでMakerFaireTokyo2019 があり、出展しました。
しばらくブログをご無沙汰していたので、今回出展したMakerFaireTokyo2019 を含め、今年出展したイベントをまとめてみたいと思います。(大学関係のイベントは除く)
NT京都 3月23、24日 西院春日幼稚園
例年出展していますが、昨年は直前に入院したため、伯さんに代役を頼むことになったので、折角エマーソン北村さんがアームテルミンで演奏してくれたのを見られず残念でした。
今年は、ステージに向かって左最前列のブースで「ましぐれ」さんの隣でした。
展示物は、
・Euro 山下シンセ
キーボードは持参せず、むき出しの新作ランダムノートとつないでデモ
・フリケンシーシフタ
Volca Sampleとつないでデモ(特に見に来てくれた人にのみ)
・光るアームテルミン・ライブ
試作初号機(ガジェットのアームテルミンの基板を外付け)でデモ
でした。
ガジェットタイプのアームテルミンは、もはや珍しくないので、キッズ用に展示
テスラコイルがすぐ横だったので、ノイズでアームテルミンのモードが勝手に変わり往生しました。破壊されることはなかったので安心しましたが。
意外にもモジュラーシンセアーティスト系の知人達が多数来てくれ感激しました。
武藤さんがフリケンシーシフターをいじり倒しています。
また、閉展寸前に岐阜から、初対面のテルミン奏者の「るな」さんが駆けつけてくれました。すでに撤収中で残念です。
Frequency Shifter の検討(その7)再設計(試作2回目)
しばらく前の話になりますが、今までの検討してきたFrequency Shifterをビルダーズサミット(2018.11.24)に展示することにしました。
今まで検討してきたのは、ブレッドボード代わりに起こした基板で、各ブロック間をあえて接続せず(ブロック毎に評価するため)、結果的にジャンパーだらけです。この写真の裏側です。
また、cos/sinOSC をVCO化したものは、別モジュールになっています。
他にも課題があります。
一応EuroRackぽいパネルは付いていますが、奥行きが10cm弱もあり、私のモジュラーケースには入りません。
さらに、ジャックとPOTは基板に乗っていますが、スイッチは全てパネル直づけで基板にはケーブル接続です。
ということで、これらを一挙に解決すべくVer.2基板を再設計しました。
部品点数が多いため、今までのモジュールで採用してきたパネルに垂直に固定する基板構成では、奥行きを縮められないので、今回初の試みですが、パネル面と並行に基板を設置する方式を採りました。
こうすると、部品点数が増えた分を基板の枚数をふやすことで解決できます。(2枚なら奥行き5cm以内に収まります)
ジャックとPOTも今までのものとは違う垂直型に変更せねばなりませんが、その代わりトグルスイッチも基板上に実装できるので、上の課題はクリアできます。
2枚の基板はどちらもほぼ10cm角とし、その接続は、基板の背面同士をピンヘッダーとピンソケットで固定する方法にしました。
回路を2枚の基板に分割
パネル直下のフロント基板は、多くのジャックとPOTとスイッチが乗るので、それを避けたエリアは、いびつな形のためあまり多くの部品が実装できなさそうです。
結果的に、パネル面のとの接続が疎な、DomeFilterとcos/sinVCOをリア基板とし、残り2つのDBMとその加減算回路をフロント基板にしました。
サミットまでに部品の実装はできましたが、しっかり調整する時間がとれず、前の基板と比べてキャリア漏れが多い状態でしたので、残念ながら、音出しデモは旧基板で行い新基板はモックアップ展示になってしまいました。
年末年始にじっくり調整したところ性能が出るようになりましたが、改めてFrequency Shifterは「超アナログ」なモジュールだと実感しました。
Frequency Shifter の検討(その6)音だしテスト2
Frequency Shifterとcos/sin VCOを接続して音出しテストをしました。
■Ring Modulatorとの比較のための音出しテスト1
◆まず最初は、VCOの三角波を入力します。
◆Ring Modulator mode にします。
sound 0:00 - 0:25
和と差の周波数が混ざっているのがよく分かります。
三角波は高調波が少ないので音の濁りは少なく実用的です。
◆Frequency Shifter mode にします。
sound 0:26 - 0:39
Ring Modulator のときの、和と差の和の周波数のうち、
差は消えて和だけが聞こえます。ピッチシフトになります。
◆次に、高調波の多いノコギリ波に変更します。
◆Ring Modulator mode にします。
sound 0:46 - 1:10
和と差が混じりカオスになります。
あえてこの汚さを望むとき以外は使えませんね。
◆Frequency Shifter mode にします。
sound 1:12 - 1:39
音の濁りが少なくなります。
倍音の多い波形もピッチシフトすることができます。
◆Ring Modulator mode にします。
sound 1:33 - 1:40
キャリアを1Hz前後の超低周波にすると、単なる音量変化(トレモロ)になります。
◆Frequency Shifter mode にします。
sound 1:40 - 2:25
しかしFrequencyShifter にすると音量変化は消え、1Hzのピッチシフトになります。ここで、原音とMIXすると、2VCOでディチューンしたようなユニゾン効果になります。
■打楽器リズム系の音源による音出しテスト2
以下は全てFrequency Shifter modeです。
◆リズム音源1
sound 0:00 - 0:26
シフトアップしています。
低音ほど大きくアップするので、ピッチシフターとは趣が異なります。
アップ量を色々変化させています。
sound 0:27 - 0:26
シフトダウンです。
低音は負の周波数までダウンすると、高音に折り返してくるので面白い効果が得られます。
◆リズム音源2
sound 0:46 - 1:25
超高音までシフトしています。
◆リズム音源3
sound 1:25 -