電音の歩み

電子楽器を中心とし、ものづくり関係も含めて紹介していきます。

Frequency Shifter の検討(その2) Dome Filterの検討

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graph 1

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circuit1

 

Dome Filter ?

入力された原音の基音と高調波の位相を90°シフトするフィルタをDome Filterと呼びます。

ヒルベルト変換のアナログ近似で、実部用と虚部用の二つのAll Pass Filter ( Phase Shifter )で構成します。

各Phase Shifterは、オーディオ帯域を出来るだけ直線的に位相をシフトするため、一段で180°シフトできる一次のPhase Shifterをつなぎ目を滑らかに6段つないで広帯域に直線的位相シフトをしています。graph1の上と下のカーブがcircuit1の上段と下段のPhase Shifterの特性です。

20Hzから20KHzの範囲でほぼ直線に見え、上段と下段の出力間の位相差は90°になるようにしています。実際シミュレーションではこの範囲でほぼ90°になっています。

この特性を得るにはR,Cの精度が相当必要と思われますが、時定数のRの値が全て異なるのでこれを実装するのは大変です。

実際どんな音が得られれば良いのかも未知数ですので、今回の試作では5%以下で良いつもりでやります。

 

入力された原音の基音と倍音を全て90°位相シフトするのは、アナログでは不可能(?)なので、このような少しごまかしっぽい構成がとられています。

人間の耳はオーディオ信号の位相が変化しても分からないということで、上段の出力を原音の代わりとみなすことで、90°シフトを実現していると理解しています。