VCAの回路
VCAは、Euroに対応して電源電圧を12Vに変更する程度で、設計はほぼ書籍のままでよいと考え、
書籍の「今作るなら」で 設計したVCA 回路をチェックするために作った基板を流用して、むりやりEuroパネルに納めて、仮のVCAを試作しました。「(VCAその0) 仮VCA」のやつです。
仮とは言え、モジュラーのケースに納めて、実際に使ってみたおかげで、重大な問題が判明しました。
Lin/Exp の切り替えがとても使いづらい。切り替えるたびに Initial Gain VR を調整し直さなくては成らず、しかもこの調整がなかなか難しいのです。
私のVCA は、Lin/Exp の切り替えモードが特徴の一つなのですが、シグナルとピークインジケータもあり、当時快適に使えていた記憶がありました。
もう一度昔のVCA(下図)を振り返ると、使いやすくする配慮がしてありました。
Initial Gain VR は、Liner側の感度設定とし、
Expに切り替えたときに、感度差を吸収する独立した調整(VR2)が設けてありました。そのため、Initial Gain VRを再調整するこなく、自由に切り替えができる設計でした。(VR1はDCバランスを取る目的のもの)
それに対し「今作るなら」の回路は調整が独立していないため、Lin/Exp 切り替えの度にInitial Gain VR を調整し直さないと使えないものになっていました。(完全な改悪です!!)
なぜこんなことになったのでしょうか。
「今作るなら」の回路を検討する際、初ラ連載のVCAの回路を見て、Lin/Exp 切り替え回路が冗長な気がして、「抵抗(R8)一本を挿入するかしないか」の切り替えだけでシンプルにLin/Exp 切り替えができる、エレガントな回路に改良したつもりになっていました。(その結果、独立した感度調整は省略されますが、これはInitial Gain VR ですれば良いだろうと考えてしまっていました)
今考えると、同じ人間の考えることなので、40年前もたぶん、今回の回路も候補にはなったが結局ボツにした様な気がします。
やはり、実際のシステムの中で使いながら回路を決めていた当時に比べ、執筆するために(最低限の動作確認はしていましたが)机上で設計しただけだったので、こんなことを見落としてしまったのだと思います。 これは反省せねば成りません。
ということで、今回のEuro版の回路は、初ラ連載当時の物にもどしました。
HPの書籍のサポートの方にもこの情報を載せています。