電音の歩み

電子楽器を中心とし、ものづくり関係も含めて紹介していきます。

Synth Scope その3 内部構成について

Synth Scopeは、シンセの波形を手軽に表示するモジュールです。

測定器としての精度は重要でないので(と考えて)、マイコンのソフトで実現しています。

 

マイコンは、AliExpressで安価に買えるSTM32搭載のMaple互換(模倣)ボードであるBluePillを使っています。このボードは日本語の情報も豊富で、ブートローダを入れるとArduinoIDEで開発できます。STM32duinoと呼ばれています。

 

Displayは。0.96"の128*64画素のOLEDを使います。これもAliで購入。I2Cのは遅いのでSPIを選びました。 入荷に時間がかかったので複数ショップから購入したところ、わずかに形状・寸法が異なるものが何種類もありました。要注意です。SSD1306のライブラリ<Adafruit_SSD1306.h>が使えますので便利です。

 

信号入力は、AC入力はごく簡単なLPFを通して単電源OPアンプで受け、DC側もOPアンプで受け別のアナログ入力につないでいます。A/Dが豊富にあるのでアナログでの切り替えが省略できす。ラインレベル(1Vpp)とシンセレベル(10Vpp)の切り替えは、ソフトでゲインをかけて切り替えます。

EXTtrig入力はバッファリングも省略しています。

 

また、ミニジャックは、ステレオ/モノラルの両ケーブルを繋げるようにステレオジャックを使います。

 

mode SWは、オーデオ(lineレベル)、オーデオ(シンセレベル)、LFO(シンセレベル)、EG(シンセレベル)の4モードを切り替えます。

Trig SWは、Trigなし、内部Trig、外部Trigを切り替えます。

 

ソフトウエア構成は、Timer4で 70.312KHz ( 72MHz/1024 )のタイマー割り込みを構成し、

この中でオーディオ信号を128byte表示バッファへ取り込んでいます。サンプリングレートの変換やアンチエイリアシング、トリガ処理はタイマー割り込み内で行います。

 

OLEDディスプレイへの表示はAdafruitのライブラリを使います。

バッファをSSD1306へ転送するのに7msほどかかりますので、表示ループは10msで回します。

ここでの注意点は、analogRead関数の実行中にタイマー割り込みがかかり、その中で別のanalogReadをすると、analogReadがフリーズするようなので、排他制御を行っています。

 

低速が重要なLFOモードとEGモードは、10msのループ内でサンプリングしています。

 

またデモ用として、回路図の左上のコネクタにVRとSWを接続した小基板をつなぐと、ソフト的に発生する正弦波と、SWでゲートを与えて発生するEG波形を表示することができるので、

信号源につながなくても、SynthScopeの動作のデモが可能です。

 

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Synth Scope その2 機能モデルを作りました

一部の方からの期待が強い(?)モジュラーシンセ専用オシロスコープの機能モデルができました。

本来なら、MakerFairなどでの展示・頒布が目指でしたが、当面機会がないので、ブログで紹介します。

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仕様は「Synth Scope その1」のマイナーチェンジで、UI が整理され、少し機能が強化されました。

また測定器ですので、信号源につながないと動作しないため、手軽にデモができないので、写真にある小基板を接続するとデモ用のモードになり、

内蔵オシレータやEGを使って、単独での機能デモができるようになりました。

 

スイープレンジは、画面に1波形表示させた場合の周波数と音名で調整します。

レンジは、C0(65Hz)からA7(14080Hz)までの7オクターブを、4分割/オクターブ 刻みで細かく切り替えられます。 C, D#, F#,A のディミニッシュスケールです。

音の確認が主用途ですので、音高を見失わないようにしました。

 

LFOモードは、同じく画面1波形のとき、約0.01Hzから約10Hz程度です。

 

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次回は、内部構成を紹介します。

なお頒布は、表面実装部品が多いのでキットには向かず完成品になるので、

外部に実装依頼できるところまでは、つらい実装作業になります。

Synth Scope その1 試作しました。

安い中華製のOLEDディスプレイを試しているうちに、シンセ専用のオシロスコープができました。

 

モジュラーシンセでは、波形を見たいことはよくあり、実際オシロのモジュールも売られています。多分オシロスコープのユニットをモジュラーに組み込んだ構成だと思います。しらんけど。

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今回は、デジタルシンセのソフト構成を基本として、

 ・初段の音源部を波形の取り込みに置き換える

 ・最後の発音部を、波形表示に置き換える

で、

コンセプトは、シンセ専用のオシロ

・調整は最低限で、パッチするだけで見たい波形が見れる。

 入力レベルは、10Vpp,Lineレベルを切り替える。もちろん調整はできる。

・シンセ専用の波形表示モードとして

■1 サウンド波形表示モード

 耳で聞く音を表示するモードなので、チューナーのようにピッチがわかりやすくなっています。

  ・スイープ周波数の決定は、音階に合わせアンチログを設ける。

   とりあえず、オクターブをディミニッシュで4分割(C,D#,F#,A)とし、

   音名と周波数を表示(画面に1波形を表示したときの)

  ・トリガは、内部トリガだけでは、オシレータシンクや複数オシレータによる変調波形

   のような複雑な波形を静止できないので、外部トリガも用意します。

  ・使い方は簡単で、外部トリガをパッチするだけでオートで切り替わる。

■2 LFO表示モード

 ふつうのオシロでは表示が難しい超低周波専用の表示モードです。数秒周期の低速から数10Hzまでをカバーします。 これは使いやすいです。

 

■3 エンベロープ表示モード

 EGの波形表示専用のモードで、単発の波形でもきれいに表示できます。 

 これは、見てもらわないと説明がむずかしい。

 

それでは紹介動画をつくつたので見てください。

 

 

 

 

 

 

今年出展したイベント その4 MakerFaire東京(2019年8月3,4日)

MakerFaire東京  8月3、4日 ビッグサイト

MakerFaire京都は、エントリーし損ねたので、東京の方は早めにエントリーし、

無事出展許可がおりました。初めての出展です。

5時起きで久々のビッグサイトです。

となりの看板もMFTokyoなので紛らわしい。

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MakerFaireでの紹介ページ

https://makezine.jp/event/makers-mft2019/m0219/

 

  g200kg 新谷垣内さんとbeatnic 武田さんがブースの手伝いに来てくれました。

ありがとうございました。さすが東京。シンセ関係者が集まります。

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私のブースはこの写真の真ん中の奥です。すごい人波。

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イカーズバザールから日にちがない中、完売してしまった簡単アームテルミンと山下シンセのキットを必死で用意しました。用意するのも大変ですが東京まで運ばねばならない。今までの大阪近辺と違い宿泊の荷物もあるので、宿泊の荷物と2日目用のキットはホテルに宅配しました。

結果として、用意したキットは日目午前で完売。足らずは郵送することになりました。やはりMakerFaire東京は違います。DIYする層が厚く、買う気満々の人が多数います。初めて東京での出展なので待ち構えている方もおられました。

 

海外の方も多く、中華の人が何度もアームテルミンを触りに来て、会社予算でキットを買っていきましたが、少し心配です。 来年同じようなものが深センや上海に登場しないか・・・ 

 

今回新たな展示物は、アームテルミンライブ(光るやつ)試作弐号機です。

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イカーズバザールで展示していた壱号機は、ガジェットアームテルミンと同じAVRの回路を、表面実装部品を使って小型化し、コントローラ側にすべて入れようという発想でした。当然電池も内蔵し、コントローラから直接ステレオミニでライン出力を出す構成です。

しかし実際には電池を入れるスペースが小さく単四電池しか入らず、LEDを派手に光らせると電池の減りが早い。(電池残量を気にしながら演奏するのはストレスになりますし)

 

ということで、電源と音源を外付けにし、ラインアウトと同じステレオミニプラグ(3線)を使って、音源側から電源(2線)を送り、コントローラ側からシリアルデータ(1線)を送る仕様にしました。

改善点

・電池残量を気にしなくてよい

・LED駆動により乗っていたノイズが軽減される

・音源を8bitのAVRから32bit のSTM32に変更。

・電池なしになりコントローラが軽くなった。

 

下が音源モジュールです。

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シリアルデータは、連続音階楽器に合わせて適当に仕様を決めました。Midiを参考に。

特徴あるのは音階データで、Midiと同じ半音単位の整数部7bit に加えて、小数部7bitを持っており、2msごとに常時送出しています。

他には、トーンベロシティ、ビブラートベロシティ、トーンボリューム値、ファンクションボリューム値を4~8ms に一度送出しています。

トーンボリュームは暫定ですが、正弦波 → テルミン → ノコギリ波 → 二胡波形 をモーフィングで連続可変しています。

ファンクションボリュームも暫定で、ディレイエコーの遅延量と強さに反映します。

プッシュスイッチは、暫定でオクターブシフトと発光パターン変更になっています。

 

MakerFaire東京の他の楽器系ブースの紹介を、お手伝い頂いたg200kGさんが公開されています。

https://www.g200kg.com/archives/2019/08/maker-faire-tok-1.html 

今年出展したイベント その3 メイカーズバザール大阪(2019年7月20,21日)

イカーズバザール大阪  7月20、21日 ATC大阪

イカーズバザールは、去年も退院直後にリハビリ参加したので、これで4回目です。

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 年々規模が大きくなり、今年は10階で冷房も効いて快適な環境でした。

 今年は、伯さんと共同ブースということでしたが、伯さんは多忙で新たな作品が無いとのことで、午後からの参加になり、ほとんど私の展示の手伝いをしてもらっているような状況になってしまいました。すみません。

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 シンセ関係は伯さん、アームテルミン関係は私という説明体制です。

 

 アームテルミンは、MakerFaire京都での反省から、より製作が簡単な「簡単アームテルミンキット」を準備しました。基板をそのままケース表面にねじ止め設置する構造で、以前のキットで最も難しかったところが簡単になります。また、製作マニュアルも初心者前提に新たに作りました。

 マニュアル類は、ここに公開しています。

http://hyamasynth.web.fc2.com/ArmThermin/ArmTerminRoot.html

 表面パネルはあらかじめニス塗装済みとし、完成形がイメージしやすいキットとなりました。

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簡単アームテルミン

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キットの方は、MakerFaire東京との間が短いので、両イベント用を合わせて、簡単アームテルミンキット10セット、山下EUROシンセの2セット用意していたところ、メイカーズバザールだけで完売してしまいました。

急に売れ始めたのは、認知されてきたということでしょうか?

ただ作りだめしたつもりの在庫がなくなったので、MakerFaire東京に向けて再度作らねばならない。この感じなら、MakerFaire東京はもっと数を用意せねばならないかもしれない。荷物が増え持っていけるかな?

 

アームテルミンライブの方は、ガジェットアームテルミンの回路を流用した試作初号機から、一段階進歩した試作壱号機になりました。

全回路を表面実装にしてコントローラー側に乗せて一体化しました。

 

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コントロールとしてボリュームを2個用意しています。片方は波形セレクトでもう一つは未定です。

 

フリケンシーシフタは、マニアックなので希望者のみにデモ&体験をしてもらいました。

 

今年出展したイベント その2 MakerFaire京都(2019年5月4,5日)

MakerFaire京都  5月4、5日 けいはんなイノベーションセンタ

 関西初の本家オライリー主催のMakerFaire。

 けいはんなイノベーションセンタは学研都市にあり、中央線乗り入れの近鉄登美ヶ丘駅からバスで20~30分と遠い。ここを京都と呼ぶのは詐欺のようだ。現地の周りの最寄り駅はすべて奈良県

 事前にルートをGoogleMapで検索したら、とち狂ったことに、どんな設定をしても関空まで電車で行ってリムジンバスで京阪奈へ、との10時間ルートしか表示されず。Googleがゼンリンの地図採用を止めた直後なだけにその影響か・・

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 MakerFaireへは初出展で、申し込みしなければと思ったときには既にエントリー期限切れで、結局ikkei 氏のブースを半分間借りしての展示になりました。

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 展示物は、間借りなので展示面積が狭いので、シンセ関係は無しとし、

 フリケンシーシフタ と アームテルミン関係のみとしました。

ただこれでは、シンセをやっている山下ということがわからないかもしれないので、上のパネルを掲示しました。

 

 MakerFaireには初展示なので、アームテルミンを知らない人が多かろうと言うことで、以前作ったキットの在庫を持ってきたところ、思いのほかの人気で持って行ったものは完売してしまいました。(NTでは何度も展示しているのですが、やはりMakerFaireはひと味ちがいますね)

 ただ反省点として、購入者の約半数が電子工作未経験ぽく、ちゃんと作れるかどうか心配です。

 NTでは閉展間際でほとんどお話しできなかった、るなさんが来てくれ、テルミン業界のお話をさせていただきました。また、デモ演奏をして頂いたおかげでアームテルミンの注目度が上がったのだと思います。

 

 懇親会を終わって帰ろうとすると建物の外は真っ暗。入り口外の階段状のスロープを踏み外すほどでした。帰宅には2時間以上かかりました。ほんとに遠い。

今年出展したイベント その1 NT京都(2019年3月23、24日)

8月3,4日にビッグサイトでMakerFaireTokyo2019 があり、出展しました。

しばらくブログをご無沙汰していたので、今回出展したMakerFaireTokyo2019 を含め、今年出展したイベントをまとめてみたいと思います。(大学関係のイベントは除く)

 

NT京都 3月23、24日   西院春日幼稚園

 例年出展していますが、昨年は直前に入院したため、伯さんに代役を頼むことになったので、折角エマーソン北村さんがアームテルミンで演奏してくれたのを見られず残念でした。

 今年は、ステージに向かって左最前列のブースで「ましぐれ」さんの隣でした。

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 展示物は、

  ・Euro 山下シンセ

   キーボードは持参せず、むき出しの新作ランダムノートとつないでデモ

  ・フリケンシーシフタ

     Volca Sampleとつないでデモ(特に見に来てくれた人にのみ)

  ・光るアームテルミン・ライブ

     試作初号機(ガジェットのアームテルミンの基板を外付け)でデモ

 でした。

  ガジェットタイプのアームテルミンは、もはや珍しくないので、キッズ用に展示

 

 テスラコイルがすぐ横だったので、ノイズでアームテルミンのモードが勝手に変わり往生しました。破壊されることはなかったので安心しましたが。

 

 意外にもモジュラーシンセアーティスト系の知人達が多数来てくれ感激しました。

 武藤さんがフリケンシーシフターをいじり倒しています。

 https://www.facebook.com/satoru.mutoh.3/videos/2123885427680179/UzpfSTEwMDAwNDcyODk3MTQ1ODoxMjA5MTMxMTIyNTg3ODQy/

 また、閉展寸前に岐阜から、初対面のテルミン奏者の「るな」さんが駆けつけてくれました。すでに撤収中で残念です。