電音の歩み

電子楽器を中心とし、ものづくり関係も含めて紹介していきます。

Frequency Shifter の検討(その7)再設計(試作2回目)

しばらく前の話になりますが、今までの検討してきたFrequency Shifterをビルダーズサミット(2018.11.24)に展示することにしました。

 

今まで検討してきたのは、ブレッドボード代わりに起こした基板で、各ブロック間をあえて接続せず(ブロック毎に評価するため)、結果的にジャンパーだらけです。この写真の裏側です。

また、cos/sinOSC をVCO化したものは、別モジュールになっています。

 

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他にも課題があります。

一応EuroRackぽいパネルは付いていますが、奥行きが10cm弱もあり、私のモジュラーケースには入りません。

さらに、ジャックとPOTは基板に乗っていますが、スイッチは全てパネル直づけで基板にはケーブル接続です。

ということで、これらを一挙に解決すべくVer.2基板を再設計しました。

 

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部品点数が多いため、今までのモジュールで採用してきたパネルに垂直に固定する基板構成では、奥行きを縮められないので、今回初の試みですが、パネル面と並行に基板を設置する方式を採りました。

こうすると、部品点数が増えた分を基板の枚数をふやすことで解決できます。(2枚なら奥行き5cm以内に収まります)

ジャックとPOTも今までのものとは違う垂直型に変更せねばなりませんが、その代わりトグルスイッチも基板上に実装できるので、上の課題はクリアできます。

 

2枚の基板はどちらもほぼ10cm角とし、その接続は、基板の背面同士をピンヘッダーとピンソケットで固定する方法にしました。

 

回路を2枚の基板に分割

パネル直下のフロント基板は、多くのジャックとPOTとスイッチが乗るので、それを避けたエリアは、いびつな形のためあまり多くの部品が実装できなさそうです。

結果的に、パネル面のとの接続が疎な、DomeFilterとcos/sinVCOをリア基板とし、残り2つのDBMとその加減算回路をフロント基板にしました。

 

サミットまでに部品の実装はできましたが、しっかり調整する時間がとれず、前の基板と比べてキャリア漏れが多い状態でしたので、残念ながら、音出しデモは旧基板で行い新基板はモックアップ展示になってしまいました。

 

年末年始にじっくり調整したところ性能が出るようになりましたが、改めてFrequency Shifterは「超アナログ」なモジュールだと実感しました。

 

 

Frequency Shifter の検討(その6)音だしテスト2

Frequency Shifterとcos/sin VCOを接続して音出しテストをしました。

 

■Ring Modulatorとの比較のための音出しテスト1

    

◆まず最初は、VCOの三角波を入力します。

  ◆Ring Modulator mode にします。

    sound 0:00 - 0:25

     和と差の周波数が混ざっているのがよく分かります。

     三角波は高調波が少ないので音の濁りは少なく実用的です。

  ◆Frequency Shifter mode にします。

            sound 0:26 - 0:39

     Ring Modulator のときの、和と差の和の周波数のうち、

     差は消えて和だけが聞こえます。ピッチシフトになります。

◆次に、高調波の多いノコギリ波に変更します。

  ◆Ring Modulator mode にします。

    sound 0:46 - 1:10

     和と差が混じりカオスになります。

     あえてこの汚さを望むとき以外は使えませんね。

  ◆Frequency Shifter mode にします。

            sound 1:12 - 1:39

     音の濁りが少なくなります。

     倍音の多い波形もピッチシフトすることができます。

  ◆Ring Modulator mode にします。

    sound 1:33 - 1:40

     キャリアを1Hz前後の超低周波にすると、単なる音量変化(トレモロ)になります。

  ◆Frequency Shifter mode にします。

    sound 1:40 - 2:25

     しかしFrequencyShifter にすると音量変化は消え、1Hzのピッチシフトになります。ここで、原音とMIXすると、2VCOでディチューンしたようなユニゾン効果になります。

 

 

■打楽器リズム系の音源による音出しテスト2

 

     

以下は全てFrequency Shifter modeです。

◆リズム音源1

    sound 0:00 - 0:26

     シフトアップしています。

     低音ほど大きくアップするので、ピッチシフターとは趣が異なります。

     アップ量を色々変化させています。

    sound 0:27 - 0:26

     シフトダウンです。

     低音は負の周波数までダウンすると、高音に折り返してくるので面白い効果が得られます。

 

◆リズム音源2 

    sound 0:46 - 1:25

      超高音までシフトしています。

 

◆リズム音源3 

    sound 1:25 - 

 

 

 

Frequency Shifter の検討(その5)cos/sin OSCをVCO化しました。

Frequency Shifter の検討(その3)で書いた二相正弦波発振器ですが、

2連VRを使う構成なので当然トラッキング誤差が有ります。

そのためあまり周波数の可変範囲は望めないと思い、試したところ意外と1000倍程度までいけました。しかし可変範囲をここまで欲張ると、VRの端で変化が急峻になりすぎ使えません。トラッキングの点からはA型C型は使いたくないので、色々なVRの構成を一晩考えましたが、やはり実用的には100〜200倍程度でした。

 

しかしFrequency Shifterを活用するためには、20KHz超から0.1Hz以下までの10万倍の可変範囲が欲しいところですので、Cを二段階に切り替えてカバーしていました。

 

しかし、実際に使用してみると切替は制限が多く使い勝手が良くない。有効に使うには連続可変したくなります。

また、10万倍(16オクターブ超)を連続可変するにはアンチログは必須ですので、VCOにしなければなりません。

2連VRをOTA(13700)に置き換えたところ結構トラッキングも良く、広範囲に連続可変出来ることが分かりました。(ばらつきについては不明ですが)

 

アンチログを設け、CVゲインを最大にするとOCT/1Vにしました。

 

こんな、VCOからLFOを領域をカバーするCos/Sin VCO って、他に用途はありませんか?

 

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当時の「初歩のラジオ」をお借りできました。

11月4日に母校の大阪府立大学である、HCD(ホームカミングデー) のパーティ併設展示で「例のアナログシンセ」を展示することにしたわけですが、

展示の意味としては、

過去に学生の身分でこんなこと(こんなすごいものを作って雑誌に連載まで)していた人がいるのでその作品を在学生と卒業生向けに展示しようと言うことです。

 

シンセそのものは展示できるのですが、連載した「初歩のラジオ」は誠文堂新光社の倉庫と国会図書館くらいにしか残っていないと思っていたところ、ひょんなことからいつもビルダーズサミットにお越しの方で「初歩のラジオ」をお持ちの方がおられることがわかり、展示用にお借りすることができました。

 

とりあえず表紙と目次だけでもスキャンしておきました。

せっかくなので中を見ましたが、やはり中高生向き初歩向きの雑誌で、それ相当のレベルの記事に統一されています。その中で、私の記事だけが大学生超向きの内容で、今見ると大変違和感があります。よく一年以上も続けられたなぁと思います。

 

では、懐かしい表紙をご覧あれ。

 

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母校のホームカミングデーの展示協力します

大学時代の一年先輩の上田氏からメールがありました。

氏は、府大の先輩、松下での先輩であり、その後は関大に勤務されていたのですが、いつの間にか母校の府大の広報・卒業生科の仕事をされているようです。

 

11月4日開催の第9回目のHCD(ホームカミングデー)は135年目なので盛大に行うとのことで、第2部のパーティーに、卒業生代表として併設展示をして欲しいという依頼でした。

www.osakafu-u.ac.jp

私に依頼が来た理由は、学生時代仲間と6800系のマイコンのハード・ソフトの開発をやっていたのをご存じで、その中でも私が開発した「Nakamozu Tiny Basic」というインタープリタは、ASCIIに連載したりして、全国の一部の方に使って頂き他のTinyBasicより高速と評価されていました。実際はそれよりも、ナカモズの名称が付いていることがHCDにふさわしいと言うことでお声が掛かったのだと思います。

Nakamozu Tiny Basic /ASCII

結局の所、Nakamozu Tiny Basicは動くハードが残っていないのと、せいぜいASCIIの合本を展示するくらいしかできないので、

学生時代それ以上に力を入れていた「アナログシンセ」を展示することにしました。

アナログシンセ資料室

と言うわけで、例の大きなモジュラーシンセをまた運び込むことになりました。

また、最新版としてEuroRack版のシンセも持って行き音出しに使うつもりです。

 

下記のHCDのお知らせには既に予定として書き込まれています。

 

www.opucr.osakafu-u.ac.jp

 

母校のホームカミングデーの展示協力します

大学時代の一年先輩の上田氏からメールがありました。

氏は、府大の先輩、松下での先輩であり、その後は関大に勤務されていたのですが、いつの間にか母校の府大の広報・卒業生科の仕事をされているようです。

 

11月4日開催の第9回目のHCD(ホームカミングデー)は135年目なので盛大に行うとのことで、第2部のパーティーに、卒業生代表として併設展示をして欲しいという依頼でした。

www.osakafu-u.ac.jp

私に依頼が来た理由は、学生時代仲間と6800系のマイコンのハード・ソフトの開発をやっていたのをご存じで、その中でも私が開発した「Nakamozu Tiny Basic」というインタープリタは、ASCIIに連載したりして、全国の一部の方に使って頂き他のTinyBasicより高速と評価されていました。実際はそれよりも、ナカモズの名称が付いていることがHCDにふさわしいと言うことでお声が掛かったのだと思います。

Nakamozu Tiny Basic /ASCII

結局の所、Nakamozu Tiny Basicは動くハードが残っていないのと、せいぜいASCIIの合本を展示するくらいしかできないので、

学生時代それ以上に力を入れていた「アナログシンセ」を展示することにしました。

アナログシンセ資料室

と言うわけで、例の大きなモジュラーシンセをまた運び込むことになりました。

また、最新版としてEuroRack版のシンセも持って行き音出しに使うつもりです。

 

下記のHCDのお知らせには既に予定として書き込まれています。

 

www.opucr.osakafu-u.ac.jp

 

あのシーケンサーが帰ってきました。

40年前、初歩のラジオに連載を開始したとき、既にシンセこ・ラックの上に供えられていたシーケンの話です。

拙著「伝説のハンドメイドアナログシンセサイザー」のP198 に紹介しているように、連載前のシンセ初号機と組み合わせて使う目的で、友人のikkei氏に依頼したモノです。

モーグなどのシーケンサーを知らなかったため、とても面白い仕様になっています。

このあたりのことは、本に書いているので省略するとして、省略するとして、

書籍執筆のためにシンセを実家の押し入れから取り出したときには、既に動かなくなっていました。

 

このシーケンサーは、マイコンは使っていないのは当然として、ロジックICも使っておらず、ディスクリートで、何度か改造を経ているようで残っていた回路図も怪しい。

ということで作者のikkei氏に、直る期待半分で手が空いたときに見て欲しいと行って預けていたところ、本当に直って帰ってきました。 はんだが取れたり、線が切れたり、接触不良やトランジスタの故障などいろいろあったようです。

 

早速、最新のEuroモジュラーと接続して動作させてみました。

下の動画をじっくり見て貰えれば、以外と多機能なことが分かると思います。

ステップ毎にゲートをオフにできたり、CVの加算値を出力させてアクセントを付けたり、別に設定したCVとの加算をボタンで行い、ピッチをシフトさせたり等々・・

 


40数年前開発の、「あのシーケンサー」が帰ってきました。

 

 

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