初ラ連載のEG
初ラ連載のEGは、対して検討した記憶もないのですが、結果的にトラブル報告もなく、意外と高速なので、モジュラーシンセ特有の特殊な使い方(EGでループを組んで、VCOやLFOの代わりにするなど)にも使える実績がありますので、12V対応化すればOKと考えていました。
しかし、パネルの面積が広くパネル裏で配線するモーグタイプでは、VR(ボリューム)の選択に困ることはありませんが、パネルの小さなEUROで、かつパネル裏配線を無くそうとすると、選択肢が減ってしまいます。
ボリューム選択に難航
VCO,VCFでの検討で、基板の両面にジャックと共に実装できるようになった、aitendoの16mmサイズのVRは、A型がない。(問い合わせたが入手予定無しとのこと。また、直接台湾に発注するには個数の点で断念。)
幸い、最小構成のEGはVRがADSRの4個、ジャックは2個で済むので、VCO/VCFの用な両面実装しなくても良いので、パネルにナット締めできる基板はんだ付けタイプの小型VRが選択肢に入ります。
アルプスのは、Dカットのみで垂直基板ではカット方向を90度変更の特注が必要なのに対し、aitendoは、同タイプでローレット軸があり、ツマミの選択肢が広いので魅力あります。
ただ、基板との固定は端子のはんだ付けのみなので、強度的な不安があり、ハンダ付け箇所が倍増する2連タイプを使うことも考えられます。
このaitendoの9mmVRは、EGに必須のA型がある代わり、1MΩなどの高抵抗は無い。
またVCFで採用したB型VRを使ってA型特性にするテクニックは、電圧を分圧するポテンショ回路では使えますが、正味の抵抗変化をA型にすることは出来ない(私の結論です。C型は出来るのですが・・ だれか良い方法を編み出した方は教えてください。)
デジタル方式に気が移りかけるが・・
こうなると、ついつい頭に浮かぶのは、ADSRのVRは電圧を出力、それをマイコンでAD変換して取り込み、ソフトでA型特性に変換した後、ソフトでコンデンサの充放電をシミュレートしてDAして出力する案です。これは以前開発したMIDI-CVの実績からうまくいくのは保証付きです。
しかし、アナログシンセのセミナー用にも使うモジュール開発というコンセプトからは、少し抵抗が有ります。(妥当な解決が無いときには、再浮上するかも知れません。)
再度アナログ作戦に戻る
ということで、高抵抗がないのは諦めてA型があることを優先して検討することにします。
(図A)
連載のEGを12Vに変更したものです。
1M(A),2M(A)を使い3.3uFのコンデンサに充放電します。
充放電の切り替えを、ON抵抗の大きいCMOS4000シリーズのアナログスイッチを使っています。
VR接点とアナログスイッチを痛めないよう1KΩの保護抵抗が入っています。高抵抗のVRを使いコンデンサの容量を減らしているので、最長10秒程度まで可変出来かつON抵抗が大きい割には高速でした。
(図B)
ここで、入手できる50K(A)を使うためコンデンサを30倍の100uFまで大きくします。しかし、電流が増えるためアナログスイッチのオON抵抗がもろに効き、高速動作は不可になりますので、動作電圧を下げて、ON抵抗の小さな74HC4066を使うのが図Bです。
試作したところ、図Aほどではないがそこそこ高速動作も可能でした。
しかしやはり課題が・・
74HC4066の絶対最大電流の制限からNGな設計であることに気づきボツになりました。
(図C)
アナログスイッチは断念しオン抵抗の小さなバイポーラトランジスタによるスイッチングを用いた回路を設計し評価しました。
今度は本当にON抵抗が小さく、正味大きな電流が流れるのでS(サスティーン)電圧源の強化が必要でしたが所望の性能は得られました。
(図D)
しかし充放電電流が大きいのはVRの接点寿命の観点で好ましい設計とは思えません。
大電流を流すのは寿命の点でも良くないので、PWM技術を用いてコンデンサの増加を最小限にし電流を減らすことにしました。
これで何とかなりそうだったのですがまだ一点懸念が。
VRの接点に流れる平均電流は元回路と同レベルになりましたが、ピーク電流は大きいままです。
これがVRの寿命にどう影響するのかよく分かりませんが、やはりピーク電流が大きいのは気持ち悪い。
そこでさらに思いついたのが、VRと直列に電流そのものを平均化するマイクロインダクタを使う作戦です。
これに付いてはジャストアイデアで、試してないので結果は不明ですが、やって損はないと思いますので回路設計に入れることにします。