電音の歩み

電子楽器を中心とし、ものづくり関係も含めて紹介していきます。

EuroRack版 山下シンセプロジェクト(VCF そのX) シンセサミットで配布するVCFキット

時間的にぎりぎりですが、ビルダーズサミットで配布するVCFキットの準備です。

先週準備していたVCOと同様、現役ビルダーへのフィールドテストのための最小限のキットです。

 

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VCFもVCOと同様、ジャックとVRを基板の両面に配置するタイプ1パネル構造のモジュールですので、

タイプ1パネルの構成と製作手順説明資料  

http://hyamasynth.web.fc2.com/EuroSynth/EuroSynth_manual_type1_panel.pdf

 

・テスト配布用 VCF 主要部品キット(ver.1.0) 製作マニュアル   

http://hyamasynth.web.fc2.com/EuroSynth/EuroSynth_KIT_manual_VCF1.pdf


   回路図

http://hyamasynth.web.fc2.com/EuroSynth/VCF1_1_Circuit.JPG

 

EuroRack版 山下シンセプロジェクト(VCO その6) シンセサミットで配布するVCOキットについて

今年もアナログシンセ・ビルダーズサミット(12/2)が近づいてきました。

エントリーは済ませ、新幹線とホテルは取りました。

後は展示内容の用意とガイドブック原稿が残っています。

 

展示としては、桐箱入りのEuroRack版の山下シンセ一式を音出しできる形で触ってもらえる様にしたいと思っています。

こちらは現状でもなんとかなるのですが、問題はキットとしての試験配布の件です。

 

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今後、初級者向きのキットやワークショップで使うのに先立ち、

現状でどんな課題があるのかの調査をかねて、ビルダーズサミットで現役ビルダーの人に最小限のキットを配布したいと思っていました。まずは、VCOとVCFから。

 最小限とはいえ、基板とパネル、サブパネルだけでは無理なので、入手が難しいVRとJack他、最低限必要な物をセットにしようと思います。

 

まずは、VCOのマニュアルを作りました。

タイプ1パネルの構成と製作手順説明資料  

http://hyamasynth.web.fc2.com/EuroSynth/EuroSynth_manual_type1_panel.pdf


  タイプ1パネルとは、VCO / VCF / VCA のように、ジャックとVRを基板の両面に配

置する構成のモジュールで採用しているものです。

・テスト配布用 VCO 主要部品キット(ver.1.2)
   製作マニュアル   

http://hyamasynth.web.fc2.com/EuroSynth/EuroSynth_KIT_manual_VCO1_2.pdf


   回路図

http://hyamasynth.web.fc2.com/EuroSynth/VCO1_2.pdf

EuroRack版 山下シンセプロジェクト VCA と SG + LFO の基板が届きました。

 

Elecrowのセールを利用して、50mm*50mm の値段で 100mm*100mm を作れました、

5枚で $4.9 です。

100mm*100mmの中に、VCA と SG/LFO と マルチプルジャックが入りました。

ホント、こんなのが5枚 $5 で良いのでしょうか? (おまけで6枚きた)

 

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下は、三枚におろしたところです。

手違いでカットされなかったので、コンターで切りました。これは残念です。

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相変わらず、十分なチェック無しで試作したため、小さなミスはありましたが、プロトとしてはOKでしょう。

EuroRack版 山下シンセプロジェクト(SG + LFO その2) 回路決定しました。

前回のプログ

で決定したように、SG( Sweep Gen.) とCVでゲインが可変出来る VCALFO の複合モジュールの回路決定しました。

 

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SG + LFOモジュールの構成

 Sweep Generator  +   VCALFO  を1モジュールとします。

 ■ Sweep Generator 

  Gate等に同期して、上昇するCVを発生する。

  キーオフでピッチが上昇するCVの生成や、 次のVCALFO と接続すると簡単に、ディレイビブラートが実現できます。

  入力     Gate

  コントロール Sweep開始するGateエッジ(立ち上がり、立ち下がり)

         Sweep Time Constant

  出力     CV

 ■VCALFO 

  振幅をCVで制御できる LFO(世界初かも?)

  入力     CV(デフォルトで SG の出力が接続されています)

  コントロール Frequency

  出力     三角波矩形波

 

 

 

 

EuroRack版 山下シンセプロジェクト(LFOその1) LFOとSGの複合モジュールにします

基板サイズと発注

今まで、すべての基板を作っているElecrow では、プロトでの基板サイズの単位が 50mm * 50 mm  なので、これに合理的に収まるようレイアウトしています。

Euro のパネルは縦128.5mm なので、基板の縦サイズは 110mm くらい欲しいのですが、勿体ないので縦は100mmちょうどに留め、幅は50mm以下にしています。

 

Elecrowでは、最小プロトである、50mm*50mm*5枚プロト製品が、現在セール中で、なんと言うことでしょう、価格($4.9)そのままで、基板サイズを100mm*100mmまで増やせます。

 

ということで、既に設計しているVCA基板は、今回のLFOと合わせて実質無料で製作しようという魂胆で、発注を遅延しています。

 

書籍「今作るなら」でのLFOの仕様

「今作るなら」では、2つのLFOを紹介しました。

LFO1

LFO1は、かなり工夫したもので、CV で三角波と方形波の振幅が変わる変わったLFO です。そしてGateに同期してアタックの変わるCV 生成回路と一体化し、ディレイビブラートが簡単に実現できるようにしています。

モジュラーシンセでは、実はディレイビブラートのパッチングは簡単ではありません。

LFOの出力をVCAに通してVCOを変調し、VCAにはリトリガブルなEG(AR)のRは最大にし、Aでディレイを調整します。 実際にやろうとすると、DC付近まで通るようなVCAが必要ですし、EGにもリトリガブルなものが必要なので、そう簡単にはできません。

そういうわけで、有用なディレイビブラートが簡単に得られる仕掛けを用意したものです。

 

LFO2

LFO2は、デューティ可変のLFOで、三角波の立ち上がりと立ち下がりのデューティをVRで連続可変し、ノコギリ波→三角波→逆ノコギリ波 がだせるものです。方形波のデューティも変わります。

 

いずれも、モジュールとしては小物なので、合わせてひとつの8HPモジュールにできると良いが、ジャックとVRの数がオーバーしそうです。

 

ホント、Euroのパネルは小さい。

 

結論としては、LFO1とSweep Gen.(Gateに同期して上昇するCVを作る)を備えた、6HPモジュールにする方向です。

 

 

 

EuroRack版 山下シンセプロジェクト(VCAその2) VCAの回路が決定しました。

EURO モジュラー用の VCA 回路設計終わりました。

このVCAはお勧めです。

といっても、結局、連載の回路のマイナーチェンジに落ち着き、40年前の連載の回路が良く出来ていたことが確認できました。逆を言えば、進歩が無い。

 

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VCAの重要な機能として、

・シグナルインジケータ

  オーディオ信号が出力されているのかを知らせる

・ピークインジケータ

  オーディオ出力が±5 V を超えたことを知らせる

があります。

 

これを用いると、「音が出ない」「音が歪む」を知らせて、適切に調整が簡単にできるようになります。

 

コネクタP2 には、LIN / EXP を切り替える3P のトグルスイッチを接続します。

まず、LIN 側にします。

 

調整方法は、

(1) Ain にVCO の10 Vp-pの三角波 or ノコギリ波を入力し、VR4 でゲインを最大にする。

(2) オペアンプ(U1A)の出力(1pin)をオシロスコープで観測し、InitialGain VR を上げたとき、

 オーディオ信号が、0 V を中心に出力されるように、RV1 でDCバランスを調節します。

(3) CV1 に CV = 10 V を入力し、オーディオ出力が 10Vp-p (ピークインジケータが点く直前)になるよう、InitialGain を回します。

 これが、LIN モードでの最適設定です。

(4) 次に、スイッチをEXP 側に切り替えます。

(5) CV1 に CV = 10 V を入力し、オーディオ出力が 10Vp-p (ピークインジケータが点く直前)になるよう、RV2を調節します。

 これが、EXPモードでの最適設定です。

 

この状態では、 LIN/EXP を自由に切り替えることが出来ます。

 

EXP モードでの、LIN とは全然違うパーカッシブな表現が可能です。

 

 

 

EuroRack版 山下シンセプロジェクト(VCAその1) VCAの回路

VCAの回路

VCAは、Euroに対応して電源電圧を12Vに変更する程度で、設計はほぼ書籍のままでよいと考え、

書籍の「今作るなら」で 設計したVCA 回路をチェックするために作った基板を流用して、むりやりEuroパネルに納めて、仮のVCAを試作しました。「(VCAその0) 仮VCA」のやつです。

 

仮とは言え、モジュラーのケースに納めて、実際に使ってみたおかげで、重大な問題が判明しました。

Lin/Exp の切り替えがとても使いづらい。切り替えるたびに Initial Gain VR を調整し直さなくては成らず、しかもこの調整がなかなか難しいのです。

 

私のVCA は、Lin/Exp の切り替えモードが特徴の一つなのですが、シグナルとピークインジケータもあり、当時快適に使えていた記憶がありました。

もう一度昔のVCA(下図)を振り返ると、使いやすくする配慮がしてありました。

Initial Gain VR は、Liner側の感度設定とし、

Expに切り替えたときに、感度差を吸収する独立した調整(VR2)が設けてありました。そのため、Initial Gain VRを再調整するこなく、自由に切り替えができる設計でした。(VR1はDCバランスを取る目的のもの)

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それに対し「今作るなら」の回路は調整が独立していないため、Lin/Exp 切り替えの度にInitial Gain VR を調整し直さないと使えないものになっていました。(完全な改悪です!!)

 

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なぜこんなことになったのでしょうか。

「今作るなら」の回路を検討する際、初ラ連載のVCAの回路を見て、Lin/Exp 切り替え回路が冗長な気がして、「抵抗(R8)一本を挿入するかしないか」の切り替えだけでシンプルにLin/Exp 切り替えができる、エレガントな回路に改良したつもりになっていました。(その結果、独立した感度調整は省略されますが、これはInitial Gain VR ですれば良いだろうと考えてしまっていました)

 

今考えると、同じ人間の考えることなので、40年前もたぶん、今回の回路も候補にはなったが結局ボツにした様な気がします。

 

やはり、実際のシステムの中で使いながら回路を決めていた当時に比べ、執筆するために(最低限の動作確認はしていましたが)机上で設計しただけだったので、こんなことを見落としてしまったのだと思います。 これは反省せねば成りません。

 

ということで、今回のEuro版の回路は、初ラ連載当時の物にもどしました。

 

HPの書籍のサポートの方にもこの情報を載せています。